たんぽぽの食卓

Food education of Tanpopo

畑とつながる調理室。
こどもたちの声から生まれるメニュー。

おなかも心も満たされて、
誰もがすくすく育っていきます。
たんぽぽの給食は、
ただの栄養補給ではありません。

「食べること」そのものが、保育であり、
食育であり、暮らしそのもの。

こどもも大人も、いっしょに味わい、
学び合い、育ち合う。
それが、たんぽぽの“食卓”です。

「いただきます!」「きゅうり食べたい!」「ぜんぶ、たべたよ!」「これ、つくって!」せんせい、今日はこれ食べたい!

たんぽぽのランチルームには、いつもこどもたちの元気な声が響きます。調理スタッフも「○○せんせい」と呼ばれ、こどもたちにとって身近な存在です。たとえば園の畑で赤く実ったトマトをこども達から手渡され、「じゃあどうやって食べようか?」と会話が広がり、そのままその日のランチになることも。自分で育てた野菜が給食に並び、こどもたちはもぐもぐ、パクパク――。それがたんぽぽの食卓です。

栄養バランスを考えた献立づくりや旬の地元食材の活用も大切ですが、ここではこどもたちの「食べたい」という気持ちに耳を傾けること、自分で選び、食べ、学ぶ機会を作ることも、大切な食育のひとつです。「食べるって楽しい」という経験がこども達の心に少しずつ積み重なり、将来「食べることを大切にしたい」「誰かと食べるっていいな」と感じることができる「食」の土台につながってほしいと考えています。

3つの食育の柱

「おなかすいた」
「おかわり」
「お腹いっぱい」
おなかの声に気づくように

空腹を感じた子から順にランチルームへ向かい、自分のペースで食事を始めます。「今日はちょっと少なめ」「もう少し食べたい」など、自分で量を選びながら“ちょうどいい”を見つけていきます。

「いただきます」と「ごちそうさま」を
感謝の気持ちをこめていえるように

異年齢のこどもたちが一緒に食事をすることで、こども同士で思いやりやマナーを育みます。

好きなものがいっぱい増えて、
食べることが大好き!になるように

地域の郷土料理や世界のごはんを五感で感じながら、
食への好奇心と味覚の幅を育てます。

01セミバイキング

園では「セミバイキング形式」の給食を取り入れています。給食の時間内に自分のお腹のすくタイミングで、食べたいお友達と食べたい量を、自分で選んで食べるスタイルです。

「今から食べる!」「今日はこれくらいにしよう」と自分で決めることで、完食できた喜びが自信につながり、食べることがもっと楽しくなります。また異年齢のお友達や好きなお友達と一緒に食べることで「食べてみようかな」という気持ちが芽生えることも。

年上の子供が年下の子に対して配膳のお手伝いやマナー、時計の見方などを教える中で、思いやりの心や社会性が育ちます。

02畑活動・クッキング活動

たんぽぽの食育は、お芋をほって終わりの収穫体験――ではありません。ここでは自分の手で育て、作って食べるという一連の体験を大切にしています。自分たちで作った食材・料理をみんなで食べることで達成感や満足感を味わい、食への感謝が高まり、やがて心と体の成長へとつながっていきます。

( 育てる、知る、感じる )

畑での活動を通して、野菜の成長の過程を身近に感じ、芽が出て大きく育ち実をつけるという野菜の成長の不思議さ、素晴らしさを体験。収穫の喜びを味わいながら、自然の力や生命の大切さを感じ、食べ物への興味や感謝の気持ちが育ちます。

これは野菜について知識を得るチャンスでもあります。絵本や図鑑を活用しながら、野菜の種類や特徴、栄養、旬などを学び、食べ物への理解や興味を深めていきます。

( 作る・味わう・分かち合う )

自分たちで育てた野菜を切ったり炒めたりしながら食材の手触りや香り、味を五感で感じます。普段の給食とは違う「自分で作る」という体験に、こども達もワクワクして目を輝かせます。

クッキングは少人数で行うことが多く、異年齢のこども達が一緒に活動します。年上の子が年下の子を手伝ったり役割を分担する中で、自然と協力する姿や思いやりの気持ちが育まれます。

03アレルギー対策について

日々の健康状態や食事の様子など、保護者の方とのこまめな情報共有を行いながら、アレルギーがある場合は医師の診断に基づき、保護者と連携しながら一人ひとりに合った対応を行っています。また、本人はもちろん、周囲のこども達にもアレルギーについての理解を促し、お互いに配慮し合う環境を作っています。

同じ食事をみんなで囲む、
「ハートの日」

アレルギーのある子もない子も一緒に、同じものを同じテーブルで楽しみたい。月に一度「ハートの日」では、すべての除去食材に対応した特別メニューを提供しています。

「ハートの日はまだ?」とこども達に聞かれるほど。みんなで同じ食事を囲むことで、食べる喜びやつながりが広がっていきます。

04地産地消

園で使用する食材は、地域の農家さんや業者さんから届く新鮮なものばかり。旬を感じる給食や行事食には、地元の味がぎゅっと詰まっています。また、こども達と商店街や畑を訪ねて、食べものが「どこから、誰から」きているか、体験を通して学びます。生産・流通・調理といった給食ができるまでの過程を知り、「食」は多くの人々に支えられていることをこども達は肌で感じとるのです。

ちまきの日

事前に、ちまき練習コーナーを設け、紐の結び方を遊びながら学びます。当日は、隣接する高齢者施設の利用者さんと共にちまきづくり。出来立てをみんなで味わって、自然と笑顔が広がります。

05郷土料理・世界の料理

日本各地の郷土料理や世界の料理を給食に取り入れ、こどもたちが色々な文化にふれる機会をつくっています。例えば、サッカー好きのこどもとの会話からスペインを取り上げ、給食はスペイン料理に。そしてその日はなんと――先生がフラメンコを踊って披露するサプライズも。食べるだけでなく、見て・聴いて・感じて楽しむ五感の食育が「食べたい」「知りたい」という気持ちを高めます。

食育チーム主任・旭先生からのメッセージ

こども達との日々のかかわりが、
食への第一歩に。

たんぽぽの給食は、毎日の暮らしの中にある“食の体験”そのものです。
「何を」も大事ですが「どうやって」という部分も大切にしています。

「今日はこれを外で食べたい」「せんせいのおとなりで食べたい」
「この味、好きかも」――
そんな小さな気持ちの芽生えが、
こどもたちの“食を楽しむ力”へとつながっていきます。

調理スタッフも保育者の一員としてこどもに寄り添い、
「ちょっと疲れているかな?」「昨日のメニュー、よく食べてたね」と、
日々の変化に目を配ります。
そんな気づきが、献立を育み、たんぽぽの食卓を形づくっていくのです。

たとえ苦手なままの食材があったとしても、香りや手ざわり、
味の記憶が残れば、いつか“食を楽しむ力”になる、そう信じています。

食べることは、生きていく土台を作ることです。
これからも、こどもたちの声に耳を傾けながら、食べることの楽しさと豊かさを、
丁寧に伝えていきたいと思っています。